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新潟地方裁判所 昭和54年(わ)470号 判決

法人の名称 株式会社大光相互銀行

右代表者代表取締役 大石幸一

主文

被告株式会社大光相互銀行を罰金五〇万円に処する。

理由

(罪となるべき事実)

被告株式会社大光相互銀行(以下「被告会社」という)は、新潟県長岡市大手通一丁目五番地六に本店を置き相互銀行を営む株式会社で、証券取引所に上場されている有価証券の発行者であるが、被告会社の代表取締役であつた分離前の相被告人駒形斉は、被告会社の業務に関し、

第一  (一) 昭和五二年六月二四日、東京都千代田区霞が関三丁目一番一号大蔵省において、大蔵大臣に対し、被告会社の昭和五一年一〇月一日から同五二年三月三一日までの事業年度(第七一期)の有価証券報告書を提出するに際し、同報告書中、同事業年度の貸借対照表の支払承諾見返及び支払承諾の額が、いずれも一、四五二億七、六九七万六、〇〇〇円であつたのに、そのうち、各三九四億四、七一〇万円を除外し、一、〇五八億二、九八七万六、〇〇〇円として重要な事項につき虚偽の記載をした有価証券報告書を作成した上、これを提出し

(二) 昭和五二年一二月二四日、前記大蔵省において、大蔵大臣に対し、被告会社の昭和五二年四月一日から同年九月三〇日までの事業年度(第七二期)の有価証券報告書を提出するに際し、同報告書中、同事業年度の貸借対照表の支払承諾見返及び支払承諾の額が、いずれも一、五五二億六、三九〇万五、〇〇〇円であつたのに、そのうち、各五六三億五、八二〇万円を除外し九八九億〇、五七〇万五、〇〇〇円とし重要な事項につき虚偽の記載をした有価証券報告書を作成した上、これを提出し

(三) 昭和五三年六月二四日、前記大蔵省において、大蔵大臣に対し、被告会社の昭和五二年一〇月一日から同五三年三月三一日までの事業年度(第七三期)の有価証券報告書を提出するに際し、同報告書中、同事業年度の貸借対照表の支払承諾見返及び支払承諾の額が、いずれも一、六八〇億五、九六五万二、〇〇〇円であつたのに、そのうち、各六八六億四、七四〇万円を除外し九九四億一、二二五万二、〇〇〇円として重要な事項につき虚偽の記載をした有価証券報告書を作成した上、これを提出し

第二  (一) 昭和五二年六月二八日、東京都千代田区大手町一丁目三番三号大蔵省関東財務局において、大蔵大臣に対し、被告会社の昭和五一年一〇月一日から同五二年三月三一日までの事業年度(第七一期)の業務報告書を提出するに際し、同報告書中、同事業年度の貸借対照表の支払承諾見返及び支払承諾の額が、いずれも一、四五二億七、六九七万、六、〇〇〇円であつたのに、そのうち、各三九四億四、七一〇万円を除外し一、〇五八億二、九八七万六、〇〇〇円として不実の記載をした業務報告書を作成した上、これを提出して大蔵大臣を欺もうし

(二) 昭和五二年一二月二七日、前記関東財務局において、大蔵大臣に対し、被告会社の昭和五二年四月一日から同年九月三〇日までの事業年度(第七二期)の業務報告書を提出するに際し、同報告書中、同事業年度の貸借対照表の支払承諾見返及び支払承諾の額が一、五五二億六、三九〇万五、〇〇〇円であつたのに、そのうち、各五六三億五、八二〇万円を除外し九八九億〇、五七〇万五、〇〇〇円として不実の記載をした業務報告書を作成した上、これを提出して大蔵大臣を欺もうし

(三) 昭和五三年六月三〇日、前記関東財務局において、大蔵大臣に対し、被告会社の昭和五二年一〇月一日から同五三年三月三一日までの事業年度(第七三期)の業務報告書を提出するに際し、同報告書中、同事業年度の貸借対照表の支払承諾見返及び支払承諾の額が、一、六八〇億五、九六五万二、〇〇〇円であつたのに、そのうち、各六八六億四、七四〇万円を除外し九九四億一、二二五万二、〇〇〇円として不実の記載をした業務報告書を作成した上、これを提出して大蔵大臣を欺もうし

たものである。

(証拠の標目)≪省略≫

【法令の適用】

被告会社の代表者駒形斉の判示第一の(一)ないし(三)の各所為は、それぞれ証券取引法一九七条一号の二、二四条一項に、判示第二の(一)ないし(三)の各所為は、それぞれ相互銀行法二四条一号に各該当するので、判示第一の各罪については証券取引法二〇七条一項により、判示第二の各罪については相互銀行法二七条により、それぞれ被告会社に右各本条の罰金刑を科すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により右各罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金五〇万円に処することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 富塚圭介)

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